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マンガ『波よ聞いてくれ』を読んでデジタル健忘症の怖さを知る

[WRITER] ダクトテープ

 

♪伊東へ行くならハ・ト・ヤ!
♪電話は4・1・2・6(ヨイフロ=良い風呂)~
♪4126!4126!

 

↑このように、かつては電話番号を記憶させるための語呂合わせがよくありました。

 

そして、それらは今も昭和を生きた人々の脳に残り、電話番号だけでなく、それと同時に様々な思い出をよみがえらせます。

 

嗚呼、昭和ちびっこ達のヒーロー、ハトヤ消防隊・・・

 

覚えている電話番号はいくつありますか?

 

 

平成最期の時を過ごす我々は、いったい友人、家族、職場・・・いくつ電話番号を思い出すことができるでしょう?

 

自分の電話番号だって怪しいという人もいるかもしれません。

 

何しろ、なんでもかんでもスマホが覚えてくれるし、忘れた記憶もすぐに検索で呼び覚ますことができます。

 

外部記憶に己の記憶・記録を預けているのが、現代の我々。

 

こういう状態は

「デジタル健忘症」と呼ばれています。

 

テキストは『波よ聞いてくれ』

さて。

 

デジタル健忘症により、脱出のチャンスを失った女性がいます。

 

それは、鼓田(こだ)ミナレさん。

 

月刊アフタヌーン連載中、沙村広明作の漫画『波よ聞いてくれ』のヒロインです。

 

ミナレさんは試される大地、北海道札幌市のスープカレー屋さんでラジオパーソナリティのおねえさん。このたび、試される大地でもかなり試されてるエリアへお仕事のためにやってきました。

 

ところが、そこで某団体に拉致されます

 

構成作家の久連子(くれこ)さん、アシスタントディレクターでミナレさんの居候先の南波瑞穂(なんばみずほ)ちゃんとともに、監禁されてしまうのです。

 

なんとか外部と連絡を取ろうと、脱出を試みたミナレさん。

 

ゴムボートを広げ、それをクッションに、窓からダイブ!

 

尾てい骨に被害はあったものの、ミナレさん自ら驚くほどの運動能力と幸運で脱出に成功!

 

したはずだったのですが・・・

某団体に再び捕まってしまいました

 

なぜなら、連絡先の電話番号が分からなかったため、救援を呼ぶことができなかったのです。

 

ゴムボートですっごい無茶したにもかかわらず、

脱出失敗

 

ミナレさんは普段、電話番号をスマホに記憶させていて、自分ではまったく覚えていなかったのです。

 

つまり、デジタル健忘症だったというわけですね。

 

こうして、連載では現在も監禁され続けているミナレさんです。

 

ミナレさんが、もし連絡先をひとつでも記憶していれば・・・

 

物語は別の展開を迎えていたかもしれません。

 

デジタル健忘症の実態

 

 

デジタル健忘症については、ロシアのコンピュータセキュリティ会社であるカスペルスキーが多くの報告をしています。

 

カスペルスキーの調査によると、

ヨーロッパの成人の半数以上は自分の子供や会社の電話番号を思い出せず、約3分の1は配偶者の電話番号を思い出せませんでした。

 

それらの記憶を携帯電話の電話帳に頼っているのです。

 

他にも、91%ものアメリカ人は記憶のための手段としてインターネットとデバイスを利用していること、80%近いヨーロッパ人はインターネットを万能の参考資料としていることを報告しています。

 

現代人が、電話番号以外にも様々な情報を

外部記憶に頼っているということがよく分かる調査結果ですね。

 

さらに、

全世界の34%以上の若者が、デバイスにしか写真、メール、連絡先情報を保管しておらず、紛失したらパニックになると回答。

 

電話番号が分からず困惑したミナレさんはまさにこれです。

 

新連載早々に「25過ぎて失恋しんどい」と、くだを巻いていたミナレさん、まだまだお若いということですな。

 

きっとそう!ミナレさんは若いんだ!

 

サバイバルできるのはアレを記憶している人!?

現代社会において、私たちが「記憶」していなければならないことは膨大にあります。

 

脳は重要なデータを優先し、そうでないデータは優先順位の高いものに書き換えることがあります。

 

ですが、脳に優先順位が低いと判断されたデータでも、もしかしたら、いざという時に必要になるかもしれません。

 

そう考えると、外部記憶を有効利用していると言えるでしょう。

 

実際に、カペルスキーの調査に関わっている科学者たちも、

外部記憶に頼ることは悪いことではないと言っています。

 

外部記憶に自分の記憶がある・・・ちょっと『攻殻機動隊』みたいになってきたぞ。

 

こういうの、嫌いじゃない!

 

ですが・・・

 

ミナレさんのようなケースを見ると、最低限の連絡先である

電話番号くらいは記憶しておこうという気にはなりませんか?

 

何らかの事情で外部記憶にアクセスできない状態になったとき、外部記憶に頼っていない人のほうがサバイバルできる可能性が高いはず!

 

 

そうでないと、秘密結社の裏庭でヒグマの出現に怯えながら、思いついた電話番号がハトヤホテルの「4126」だけだった・・・なんていうことにもなりかねません。

 

助けて!ハトヤ消防隊!

 

まとめ

デジタル健忘症自体は、現代にはよくあること。

 

ある意味、人類の進化とも言えるでしょう。

 

私たちの知識や記憶は、外部記憶により膨大になっていくわけですから。

 

そのなかで、自らの頭で記憶しておくべきものは何かを、正しく取捨選択していくことが大事なのではないでしょうか。

 

少なくとも『波よ聞いてくれ』のエピソードから、サバイバルに必要な記憶のひとつが電話番号であるということがお分かりいただけると思います。

 

とりあえず・・・

家族・恋人の電話番号の語呂合わせを考えましょう。

 

電話は4・1・2・6(良い風呂)~

サバイバルポイント

公衆電話から着信があったら、あなたの大切な人が超絶ピンチかも・・・