年間72万人を殺している?人類の敵、蚊(モスキート)の生態を調べ尽くして対策を学ぶ

この記事を読む所要時間 : 約20分  サバイバル度 :

序章

真夜中に轟くは。

モスキート音。

僅かな風切音だけを頼りに繰り出した手刀は空を切る。

好機と睨んだ白刃取りは空しい破裂音を響かせる。

そろそろと開いた両の掌のどちらにも、奴の屍はない。

電気を点けたときに奴はもういない。振り返っても奴はいない。

しばらく五感を研ぎ澄ます。

寝起きで第六感は機能せず、奴を感じることはできない。

諦観よりも眠気に誘われて、再度、床に就く。

暫くの後、再び訪れるモスキート音。

いる。奴はいる。決して去ってはいない。

当然だ。この隔離された一室では、我と、奴と、それしか存在しない失楽園。

断続するモスキート音。

この音が途絶えたとき、それは奴が仕事に入ったときだ。

挑発。これは挑発に他ならない。

怒りにも似た、否、事実、怒りそのものが唐突に覚醒する。

負ける訳にはいかない。

守らなければ。

数時間先の未来を。明日の朝日を。そして己の矜持を。

選択肢など決まっている。

奴が死ぬか、奴が死ぬか、だ。

俺たちの闘いは始まったばかりだ。

 

つまりですね、先日の真夜中のこと、1匹の蚊が僕の部屋に現れ、僕の睡眠を夜通し妨害する、というサバイバルな事案(そうか?)が発生したワケですが。

 

奴を倒しきれなかった時の何が良くないって、睡眠不足になるのもそうなんですが、あんなちっこい奴に振り回された挙句、血液だけ献上させられて、あたい(血を吸うのはメスだけなので)は満足したんでハイサヨナラみたいな態度が超絶に腹立たしく、しかも痒みだけを残して去るという後腐れありまくりで、満足して帰った後には仲間と女子会とかで、「マジあいつ、ぜんぜん気付かないしぃ?便利なレストラン様様?もはや財布的な?ほんとゴチソーサマデシタって感じぃ~」みたいにワイワイやってるかと思うと、イライラMAXになるので、精神的にすごく良くない。

 

すごく、すごく良くないのでR。

 

何かのドキュメンタリーで、ホームレスの方が、空き缶やら雑誌やらで稼いだお金で蚊取り線香を買っていて、「夏はこれがないと睡眠できない。睡眠とらないと体力が落ちるので死んでしまう。必須アイテム」というようなことを言っていましたが、生きるということにおいて睡眠が如何に大切なものであるか、男子にとって女子会が如何に危険なものであるか(違う)、激しく頷いたのを覚えています。

産卵のためにタンパク質が必要だから栄養価の高いヒトの血を吸う、と聞くと、モスキート女子はモスキート女子で、生物として真っ当なことをやっているだけなので、むむむ・・・とも思う訳ですが、

 

だったら何故かゆい?何故に事態を複雑にする!?んんっ!?

 

ちなみに、蚊のオスは、血を吸うことはなく、花の蜜とか草の汁とかを吸って一生を過ごします。しっかりしてくれオス!どんだけ草食系だよ!お前らがそんなだから駄目なんだ!一歩間違えれば殺されちゃうんだぞ!?彼女たちにデッドリーでスリルすぎる午後を過ごさせているのはお前らの責任だっ!

 

・・・・・・そんなこんなで、ふと、2年ほど前に、Windowsで世界を征服しかけているMicrosoft王国のビル・ゲイツ氏が問題提起した、蚊に関する画像を思い出したワケです。

 

それなりの衝撃と共に、かなーり拡散されたので、憶えている方も多いのでは。

 

World’s Deadliest Animals

はい、どん。

 

mosquitokiller

 

簡単に説明しますと。

『ホモ・サピエンス・サピエンス』、標準和名だと『ヒト』、つまりは『人間』を死に至らしめている生物の年間世界ランキングなんですね、これ。

 

ちょっと見ていきましょう。

 

11位:サメ&オオカミ(それぞれ10人くらい)
10位:ライオン&象(それぞれ100人くらい)
9位:カバ(500人くらい)
8位:ワニ(1000人くらい)
7位:サナダムシ(2000人くらい)
6位:回虫(2500人くらい)
5位:カタツムリ&サシガメ&ハエ(それぞれ1万人くらい)
4位:犬(2万5千人くらい)
3位:ヘビ(5万人くらい)
2位:人間(47万5千人くらい)
1位:蚊(72万5千人くらい)

 

この場合は、ビル・ゲイツ氏の情報のソースがどうだとか、直接的なの間接的なの?とか、死の定義は何処なの?とか、そういった信憑性を問題にするのは後回しにして。

 

蚊、やべぇ。

 

ひとまずこの感情で正解だと思います。

 

勿論、蚊は直接的にヒトを殺している訳ではなく、血液接種時に、何らかの病原菌を体内に取り込み、別の誰かに感染させてしまう、最凶の媒介者として堂々1位、です。72万人の死者のうち、60万人はマラリアDeath。別の統計では、マラリアの死亡者数は100万人とも、150万人とも言われていますが、2014年時点でのWHO(世界保健機関)の発表が『2013年統計で58万人』ですので、ゲイツ氏のソースはWHOかな、と思います。

 

イメージというものはいつの時代も先行するものですが。

 

まぁ、第2位の人間はね。。。
仕方ないと言っては駄目だけど、世界を見渡せば戦争とか内紛とか途絶えない地域はまだまだたくさんありますので、むしろ、思ったよりも少なかったかな?というのが個人的な感想でしょうか。人間は人間を殺してしまうというのは、否定したくても心の何処かでは納得してしまうところがあるのですが、同種間で殺し合いをするのって、生物界の中では人間だけなんですよ。世界の生物たちは、種の保存の名のもとに、競争や闘争はしますけど、意図的に殺すことはないですし、降伏した相手を痛めつけるような真似もしません。さらに降伏した相手にトドメを刺すなんて、生物の流儀として絶対に有り得ないのです。人間は、やっぱりちょっと想定外の生物、なんでしょうね。

 

予想外だったのが第4位の犬
これも蚊と同じように、犬自体が直接的に咬み殺すといったケースはほとんどなく、脳をやられてしまう狂犬病(狂犬病ウィルス)がその本質の模様(ある意味、良かった!犬、好き)。1957年までは日本でもだいぶ流行っていた感染症で、発症した時の致死率は100%と恐れられていました。現在は世界レベルでかなーり根絶されていますが(日本では1957年以降、ゼロ)、「狂犬病」だから犬だけに注意すれば良いワケではなく、犬が多いというだけで、ネコやキツネ、リスやコウモリなどの野生動物であれば、狂犬病ウィルスの宿主になり得ます。

国内でのリスクはほとんどありませんが、海外で野生動物に噛まれたときは、すぐに病院で狂犬病ウィルスの感染チェックを行うべきです。狂犬病は発症してしまうとアウトですので、発症前に何とかしなければなりません。そういえば、狂犬病は、吸血鬼の伝承の起源と言われていますね。狂犬病の症状は、末期になると、幻覚を見始め、知覚過敏になり(ニオイの強いもの、強い光などを避ける)、喉が痙攣するため水すら飲めなくなる(水を避けるように見える)、狂犬病感染者に噛まれたら狂犬病に感染する、などなど。あら不思議、まるでニンニクに弱くて、光に弱くて、聖水に弱くて、血を吸って仲間を増やす誰かさんみたい!みたいな。

 

もうひとつ予想外だったのが第11位のサメ
そんなもんなんだ・・・なんかイメージ的に、めっちゃ食われてる感じがしてたけど。

 

感染症の媒介者としてランクインしているのが、カタツムリ、サシガメ、ハエ、犬、蚊というところですので(これ以外のメンツはほぼ直接攻撃)そういう意味では、実際にはウィルスとか原虫とか細菌こそ大量にヒトを殺している、というランキングでもあるワケですが、見えないものには注意できないので、この露出の仕方で別にいいと思うんですよ、僕ぁ。

逆に言うと、単体生物として直接的に最もヒトを殺しているのは、ヘビ、ということになりますね。これも毒という手段で、カラダの内側からやられてしまうパターンではありますが(人間は内側からの攻撃にほんと弱い)、さすが悪魔にも神にも例えられる代名詞。

 

やはりここは。
改めて、最も危険性を秘めている生物、蚊について学んでおくべきと思うワケです。

 

最近でも、デング熱やジカ熱で、やや国内でも世間が騒いだことがありますが、この媒介者は、蚊です。

蚊は、全世界では2500種類ほどいます。日本国内では100種程度、その中でも「血を吸う習性がある蚊」は3種類、「ヒトスジシマカ」「アカイエカ」「チカイエカ」以外を見かけることはほとんどありませんが、地球上では、アリの次に数の多い動物、と言われています。その圧倒的な繁殖力と暴力的な数こそが、彼女等の危険性を高めているワケです。

 

主な蚊の種類と、感染症の関係

①ヒトスジシマカ

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シマシマのやつですね。日本では一番多く見かけます。刺されるとかなーり痒くなります。
体長は4.5mmと小さめで、主に昼間に活動しています。森とか公園とか、屋外で刺されるのは、ほとんどこいつです。

■主に運ばれる感染症
〇デング熱(デングウイルス)
【症状】軽度なものは発熱・頭痛・筋肉痛・腹痛・発疹など。重度なものは出血を伴う。
【致死率】1%程度(重度なものは10~20%と言われる)
【感染地域】全世界(日本含む)
【ワクチン】なし

〇ジカ熱(ジカウィルス)
【症状】発熱・頭痛・筋肉痛・発疹など。
【致死率】死亡例はほぼないが、妊婦が感染した場合、乳児が小頭症で生まれ死亡するケースが示唆されている(現在調査中)
【感染地域】アフリカ、特に最近では中南米で多い(日本での発症例はなし)
【ワクチン】なし

 

②アカイエカ

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ちょっと茶色っぽいやつですね、ヒトスジシマカよりも、ちょっと大きい5.5mm程度です。
「イエカ(家蚊?)」の名の通り、主に屋内で活動し、夜もお盛んです。ヒトスジシマカより少し大きい分、プーンという羽音がはっきり聞こえるので、ワセリンが夜中に敗北したのは、おそらくこいつです。
こいつは、感染症も勿論ですが、何よりも『スリープ・ブレイカー』の称号を持つ者として危険です。

■主に運ばれる感染症
〇日本脳炎(日本脳炎ウイルス)
【症状】頭痛・発熱・嘔気・嘔吐・腹痛・下痢など。超高熱となると命の危険が増す。
【致死率】発症すると20~40%程度
【感染地域】全世界(日本含む:1992以降はほぼなし)
【ワクチン】あり

 

③ネッタイシマカ

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現在の日本では生息していない(はずの)種類ですが、世界ではヒトスジシマカと同様の生息地域を持ち、厄介なウィルスの運び屋として恐れられている蚊です。その名の通り、熱帯、暑い地域に多くいます。

■主に運ばれる感染症
〇デング熱(デングウイルス)
【症状】軽度なものは発熱・頭痛・筋肉痛・腹痛・発疹など。重度なものは出血を伴う。
【致死率】1%程度(重度なものは10~20%と言われる)
【感染地域】全世界(日本含む)
【ワクチン】なし

〇ジカ熱(ジカウィルス)
【症状】発熱・頭痛・筋肉痛・発疹など。
【致死率】死亡例はほぼないが、妊婦が感染した場合、乳児が小頭症で生まれ死亡するケースが示唆されている(現在調査中)
【感染地域】アフリカ、特に最近では中南米で多い(日本での発症例はなし)
【ワクチン】なし

〇黄熱病(黄熱ウィルス)
【症状】発熱・寒気・頭痛・筋肉痛・吐き気など。重度な場合は黄疸(おうたん)、出血。
【致死率】発症後は特効薬がなく対症療法となるが回復可能(ほとんどの死亡者はアフリカなど治療が遅れる地域の人々)
【感染地域】熱帯アフリカ、中南米
【ワクチン】あり

 

④ハマダラカ

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悪名高き『マラリア』の原虫を運ぶ、死の配達人がこいつです。なんかもう、パッと見、人相が悪い気がします。
ハマダラカは世界で460種ほどで、マラリア自体も種類があるのですが、その中でも特に悪性である熱帯熱マラリア原虫を媒介しているのが、ガンビエハマダラカです。ガンビエハマダラカの生息地域は、アフリカの熱帯地域に集中しており、日本には生息していません。つまり、マラリアによる死亡者は、ほぼアフリカの一部の地域に集中しており、ここだけで60万人近くもの人間が死亡しています。世界で最も人類を殺しているのは、このガンビエハマダラカ、ということになります。

■主に運ばれる感染症
〇マラリア(マラリア原虫)
【症状】種類によって異なるが発熱・悪寒など。熱帯熱マラリアのみ、頭痛、倦怠感、筋肉痛、嘔吐、下痢など。
【致死率】適切な処置をすれば回復可能(ほとんどの死亡者はアフリカなど治療が遅れる地域の人々)
【感染地域】熱帯アフリカ、インドネシアなど亜熱帯地域
【ワクチン】地域によって異なるがワクチンあり

 

日本国内にいる限りはそもそも感染しにくいのと(こういった防御に関しては、日本政府は本当に頼もしいと感じます)、医療設備が充実しているため感染したとしても何とかなると思いますが、やはり海外に行く場合は、十分な下調べと注意が必要です。

見てわかる通り、蚊から感染する感染症は、それなりにワクチンや予防策はあるものの、発症してしまうと特効薬が少なく、初期症状ではわかりにくいため、治療レベルが生死を分けてくるのは明白です。やはり最も死亡数の多くなっているアフリカの熱帯地域では、衛生面と病院・医者の少なさが、最大の課題と言えるでしょう。

 

つまり、信頼できる予防策は、

 

蚊に刺されないこと。

 

しかないというのが現実なのです。

 

では、そもそも、どうやって蚊は、人間(動物)を認識しているのか。
そこから考えていきましょう。

 

蚊の人間探知方法

生物学の雑誌『カレント・バイオロジー』に発表された2015年の最新の研究では、下記だと言われています。

 

①嗅覚【10〜50mの範囲】主に二酸化炭素を探知

②視覚【5〜15mの範囲】モノクロに見えているため黒色に反応

③温度(体温)【1m以内】

 

まさかの3重奏(トリオ)!!

あのサイズで、とんでもない高機能なんですがそれは。。。

1m以内まで来られたら、そりゃもう無理というか、体温を下げることなんて不可能なので、もう逃げられませんね。どんなにATフィールドを張り巡らせて「入って来ないでぇ!」といったところで、通用するはずもなく、多少距離を置いたところで、15m圏内であれば視覚的に見つかってしまう。一瞬で15m以上移動するなんて不可能ですので、一度見つかってしまったら、逃げるのはかなり難しいと考えられます。

 

何とか、何とか遠距離の時点で見つからないように、嗅覚センサーに引っかからないようにすることはできないのか。

 

蚊の嗅覚センサー

蚊が嗅覚センサーで探知するのは、下記と言われています。

 

①二酸化炭素
最も蚊が遠くから反応すると言われている成分です。通常の呼吸で排出されるため、防ぐこと自体はさすがに不可能。身体が大きい方が排出量は増えるため、子供よりも大人、痩せてる人よりもフクヨカな人の方が、より多く二酸化炭素を排出します。当然、運動すれば、ゼーハーゼーハーするので排出量は増加します。

②乳酸・尿酸
これは主に汗ですね。ヒトの汗に含まれるこれらの成分に反応します。

③皮膚の細菌やバクテリア
人間が放つ一定の体臭にも反応します。特に足を刺されることが多いのは、人間の足にはそういった細菌やバクテリアが多いためと推測されています。人間の足のニオイが好きってことか。。。いや人間にもいるか、そういうアグレッシブな趣味の方は。

 

サバゲーのときとか、やったら蚊が寄ってくるのは、このせいだったのですね。。。屋外での運動中は、息切れで二酸化炭素の排出量が多くなる上に、汗をかき、体温も上がる。その上、黒系の迷彩服。しかも森は奴等の領域。嗅覚、視覚、温度と蚊の全てのセンサーに引っかかる瞬間ってワケですね。

 

ここまで来ると、予想を遥かに超えてくる蚊の性能に、ふと疑問がよぎります。

 

これ、回避するの無理じゃね?

 

はい、僕もそう思います。
調べれば調べるほど、ナチュラルな状態で奴等の襲撃を防ぐことは不可能だと言わざるを得ません。動くな、息をするなとか言われましても。

しかしそこは!人間の英知の結晶である科学力と化学力の出番!です!

 

彼を知り己を知れば百戦殆からず【孫子の兵法書より】

 

蚊の生態を逆手にとる

蚊の嗅覚センサーは、人間の1億倍の嗅覚を誇る犬ですら凌ぐと言われていますが、故に弱点でもあります。そう考えるのが人類が人類である所以、考える葦たる所以なのでありますよ。

 

それでは、人間の英知が生み出した蚊対策を見ていきましょう。

 

①DEET(ディート)系の成分で蚊の嗅覚センサーを無効化

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国内外共に、市販の虫除けスプレーに良く使われている成分です。
蚊の嗅覚センサーは、一つのものしか探知できない、という性質があり、このDEETを嗅がせることで、人間が発する二酸化炭素や乳酸を探知できなくしてしまい、結果、人間を見失わせるという仕組みになっています。
元々は、第二次世界大戦時に、マラリアの感染を防ぐために、アメリカ軍が使っていた由緒正しき「蚊避け」の成分です。当然、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)のお墨付き。

蚊だけでなく、ブヨ、サシバエ、アブ、トコジラミ(ナンキンムシ)、ノミ、イエダニ、マダニ、ツツガムシなどにも効果があり、まさに虫除け成分のトップランカー、ということができます。

効果としては抜群なのですが、化学物質である以上、長期間に渡って使用し続けたり、大量に飲み込んだりしていいものではありません。真偽は不明ですがアレルギーや副作用の報告例もあるため、恒常的に使用する場合は少し慎重になってもいいでしょう。国内では、乳幼児への使用は禁止されています。注意書きには従いましょう。

しかし海外旅行などの短期間で、感染症リスクの高い地域に行くのであれば、最も効果の高いDEET系の虫除けスプレーにすべきです。感染したら、元も子もないですから。

ちなみに、日本で認可されてるDEETの濃度は12%までとされており、ちょっと弱いです。命に関わる海外の熱帯地域では30%~50%濃度の虫除けスプレーも市販されています。

 

②ピレスロイド系の成分で蚊に直接攻撃

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こちらは、「虫除け」というよりも、「殺虫剤」というべき市販のスプレーに良く使われている成分で、誰もが知っている大日本除虫菊の『キンチョール』にも使われています。お馴染みの「蚊取り線香」にも含まれています。電気式で稼働するマットタイプのものや、リキッドタイプのものも、その成分はピレスロイド系です。

ピレスロイド系の物質は、蚊の体内に入ることで神経を麻痺させ、そのまま活動を停止させてしまいます。つまり直接攻撃、かわすのではなく、倒すということです。『殺虫剤』であるため、蚊でなくても倒します。ハエとかダニとかテラフォーマーも倒しますが、飼育しているカブトムシとかクワガタ、金魚などの魚類も倒してしまいますので、使用には十分に注意しましょう。勿論、塗布しておくことで、虫除けにもなります。

こちらも人体への影響が気になるところですが、哺乳類には効果がなく体内で分解されるとされています。あまり聞きなれない化学物質を耳にすると、どうしても粗探しをしてしまうのですが、50年以上も開発が続けられている成分を、ことさらに疑う理由はあまりありません。使い方を間違えれば事故が起こることもあるでしょうが、未だに国内だけでも毎年4000人以上も死んでいる交通事故、毎年4000人以上もの人が行方不明になったまま見つかっていない事実を考えれば、もっと言及すべきリスクはあるんじゃないでしょーか?

 

③イカリジン(ピカリジン)系の成分で蚊の嗅覚センサーを無効化

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最近国内で認可されたイカリジンは、DEETの代替成分として市販の虫除けスプレーに使われ始めました。
効果の現れ方はDEETと同じなのですが、肌への刺激が弱く、乳幼児にも使える、より人体への影響が低い安全性の高さが振れ込みです。全世界でも、54カ国で使用されている成分です。

現状の国内では、超直近(2016年8月)で、ついにイカリジン濃度15%の商品が発売されており、その効果はDEET系に匹敵する、と言われています。その名も、フマキラー社から発売の『天使のスキンベープ プレミアム』。これまで5%濃度しか認められていなかったところ、3倍の濃度まで引き上げられ、持続時間が2時間ほどから6時間ほどに伸びる、とのこと。国内の認可レベルにもよるのですが、今後の虫除け成分の主役はイカリジンになるかもしれません。

ただし、1点だけ注意が。
イカリジン系は、DEET系と異なり、蚊、ブヨ、アブ、マダニにしか効果がありません。海外のちょっと不衛生な宿とかですと、トコジラミやツツガムシといった類の害虫はわんさといらっしゃいますので、やはり海外では、蚊以外にも汎用性の高いDEET系が無難に思えます。

 

④蚊の嫌がる天然成分で蚊を近寄らせない

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DEET系やピレスロイド系は、日本の製品にも使われているくらいですので、人体への悪影響はないに等しく、安全圏内ではあるのですが、やはり吸引してしまうことを考えると、乳幼児やペット、病弱な人の近くではできるだけ使いたくないものです。

そんなときは、忌避(きひ)効果を利用した天然成分から作られた植物そのものや虫除けスプレー、虫除けアロマ、といったものがあります。移動できない植物は、虫に食われないように、虫が嫌がる成分を発する種類が多くあります。これを忌避効果と言います。植物本来の能力を利用するので、人体には無害、というワケですね。

蚊に対して忌避効果の高い植物と成分を見ていきましょう。

 

◆ゼラニウム【成分:シトロネラール、ゲラニオール】
可愛らしい赤い花をつける、日本人でもお馴染みの植物です。観葉植物として鉢植えごと窓際に置いておくこともできる、まさに天然の虫除け。ゼラニウムの花言葉は『決意』です!(関係ない)

 

◆レモングラス【成分:シトラール】
観葉植物としては見た目的にもちょっとツライですが、その成分は、様々な香水や紅茶に使われています。蚊は、柑橘系の匂いを嫌うので、レモン系は全般的に効果があるようです。レモングラスの花言葉は『爽快』です!(まんまやんけ)

 

◆ローズマリー【成分:カンファー、カンフェン】
イギリスの庭園と言えばの、ハーブの一種として有名すぎるローズマリーさん。オサレな外国では、御庭の周りに良く植えられていますね。その強めの香りが、そのまま蚊を遠ざけます。肉の臭みを消す香草として調味料的な側面もあります。ローズマリーの花言葉は・・・有名なだけあってなんかすごいたくさんあるんですけど、個人的には『変わらぬ愛』を選びます!織田哲郎っぽいので!(どうした?)

 

◆ペパーミント【成分:メントール】
こちらもハーブの代表格、最も有名かもしれません。ミントの中でも特に成分強めなのがペパーミント、鉢植えが可能で、これまた様々な薬効を持つ香草です。ペパーミントの花言葉は・・・やはりたくさんあるのですが、『誠実な愛』で行きたいと思います!愛と誠っぽいので!(何があった?)

 

この他にも、ハーブ系は効果があると言われており、ものすごくスタイリッシュな虫除けなのですが、相対的に見た場合は、効果はかなり薄めの模様。国内ではこれでもいいかもしれませんが、刺されない、ことを条件とする場合は、やはり人工物、DEET系やピレスロイド系に頼った方が良さそうです。

 

⑤蚊の嫌がる高周波で近寄らせない(さばい部としては却下)

こちらは音による蚊の撃退法です。

蚊のメスは、オスの羽音が嫌いです。なんか、すごく悲しい事実なんですけど、基本的に生物界におけるメスは、オスのことが嫌いです。子孫を残すために、仕方なーく、交尾するのであって、別にオスが好きなワケではありません。これは人間にも当てはまります。努々、男子はこのことを忘れてはなりません。恋愛という脳の錯覚や、交尾時のドーパミン効果やらで現実がどんなに薄れようとも、彼女たちにとって、僕等はただの遺伝子だということを。

(涙を拭いて)話を戻すと、オスの羽音と同じ周波数を出すことで、蚊のメスは嫌悪感から近寄って来ない、というワケですネ☆

デング熱騒ぎで代々木公園が騒然となったとき、やったらこの高周波による『蚊の撃退アプリ』が流行りましたが、実際にその効果は如何ほどのものなのか?ネット上でも、猛者たちがこれらのアプリを身体を張って検証してくれていますが、現実的には、ほぼ効果はない模様。

たぶん理論的には正しいのでしょう。もしかしたら、まだ生娘であったり、血を吸わないときのモスキート女子には、効果があるのかもしれません。だから、一定の割合では、効果があるようにも見える。

でもですよ?それは高周波がなくても、ヒトの血は吸わない状態の蚊です。血を吸いに来るのは、既に交尾を終え、産卵のために力を蓄えたい、文字通り血に飢えたメスの蚊です。妊婦にとって、役目を終えた男なんてどうでもいい存在。「いま大事なのは子供!子供の為に血を吸うの!アタシ、失敗しませんから!」。嫌悪感があろうがなかろうが、オスの羽音なんて微々たる問題。そりゃ効きませんよ。母は強し。

 

⑥風の強い場所で蚊の飛行を妨げる

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蚊は、そのサイズからは信じがたいほどの性能を持っていますが、飛行能力だけは極端に低いのです。ちょっと風が強いだけで、まともに飛ぶことができなくなります。
単純な話、扇風機の前にいるだけで、蚊に刺されることはほとんどありません。

ですので、『スリープ・ブレイカー』対策としては、真夜中の暑さ対策を、ソヨォ~な優しい風のエアコンではなく、リズムモードにした扇風機に変更するだけで、ブレイクされる確率はかなーり減ります。扇風機が苦手じゃなければ。

 

蚊に刺されやすい人・刺されにくい人

さてさて、ここまで対策を見てきましたが、蚊の嗅覚、視覚、温度センサーを考えると、実際に蚊に刺されやすい人と刺されにくい人がいることは、想像に難くないところ。

調査結果をまとめていくと、下記のような表ができます。蚊が寄って行くのは、左側。

 

呼吸数が多い   > 呼吸数が少ない(二酸化炭素)

汗をかいている  > 汗をかいていない

黒い服や褐色肌  > 白い服や白肌

体温高い     > 体温低い

 

激しい運動直後は、ほぼ全てに当てはまるので、回避は不可能、かつ虫除けスプレーなども汗で流れてしまうので、かなーり注意が必要な瞬間です。

また、アルコールを摂取した場合も蚊に刺されやすくなる、と良く言いますが、これは呼吸数が増え、体温も上昇しますので、当然の結果でしょう。特にビールの場合は、炭酸が二酸化炭素量を増やすので、ダブルパンチです。

良く血液型も話題になったりしますが、一応、実験としては富山大学で立証されているようです。
何故なのか、は良くわかっていないそうですが。

O型
B型
AB型
A型

の順に刺されやすい、とのこと。

このへんはもう、モスキーちゃんの好みな気がするので、あくまでも参考ですね。O型とB型が一緒にいて、条件がまったく同じだった場合、O型の方が狙われやすい傾向にある、というだけで、二酸化炭素の量や体温が異なれば、結果は異なるものになるでしょう。

 

 

まとめ~蚊に刺されないためには~

調査した結果、自然生物VS自然人類、では少々分が悪いと思われ、人間の英知である化学物質に頼ることに、何のためらいもありませんが、やはり、リスク度合いのバランスを考えて、ここは冷静に、状況に応じて対策を使い分けるべきかなー、というところです。

念のため、アレを言わせていただきます。

 

※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。(ドヤァ

 

■国内の屋内(部屋)
・お子さんやペットが心配で、多少刺されても自然の流れの中にいたい人は、天然ハーブ系のアイテムで虫除け対策
・蚊の存在自体が許せない、かゆみが大の苦手、『スリープ・ブレイク』を避けたい人は、ピレスロイド系のアイテムで殺虫

 

■国内の屋外(庭仕事、公園、サバゲーなど
・イカリジン系の虫除けスプレー

 

■海外
・いつでもどこでもDEET系の虫除けスプレー、一択。

 

シンプルにまとめると、こんな感じでしょーか。

 

ちなみに、かの夢の国、ディズニーランドは、蚊に刺されることがないことでも有名です。

ネズミはいても蚊はいないのです。

何か根本的にすごい対策を打ってそうなので、今度調べてみますねー!

POINT サバイバルポイント

感染症の危険がある海外では、迷わずDEET系の虫除けスプレー!

Written by: ワセリン

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