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マンガ『マーダーライセンス牙』を読んで、生身で戦車の砲身を破壊できるかを学ぶ

[WRITER] ダクトテープ

♪ある日~(ある日~)

♪森の中~(森の中~)
♪戦車に~(戦車に~)
♪出会った~(出会った~)

 

と、嫌な感じで始まりましたが。
さて、森の中でうっかり戦車に出会っちゃって、しかもちょっとした険悪さを醸し出していたら?
そんな時はどうしましょう。

 

それはもちろん、発砲できなくしてやる奴ですよね?

 

腔発させちゃう奴ですよね?

 

ね?

 

ということで。
しつこいと言われようと!
一体いつ実用するんだよと言われようと!

帰ってきました!発砲阻止&腔発シリーズ第三回です!

 

これまでの軌跡はこちら

第一回 マンガ『MASTERキートン』を読んで銃口に指を突っ込んで暴発させられるかを学ぶ

第二回 マンガ『勇午』を読んで拳銃(リボルバー)のシリンダーを押さえ込んで発砲を阻止できるかを学ぶ

 

今度はスケールアップして、ついに戦車をドカーンと言わせちゃうわけです。

 

 

ドカーンと言わせちゃうのは、この作品。

漫画『マーダーライセンス牙』第2巻掲載「ジャングルに牙を」

 

まあ、有名な作品なんで「いんだよ、細けぇことは」なんですが、『マーダーライセンス牙』について一応紹介。

 

忍者とコマンドーを足して割ったような衣装に身を包み、忍者とコマンドーを足して割らないテクニックで悪を撃つ、「牙」こと木葉優児(きば ゆうじ)は、日本で唯一「殺人許可証=マーダーライセンス」を持つ男。
実は総理大臣の息子だったり、マッスルコントロールで女体化できたり、打ち合わせは全裸だったり、そんなお話。

 

作者は「いんだよ、細けぇことは」でおなじみの「ザ・松田」およびそのルーツである「ブラック・エンジェルズ」の平松伸二先生です。

 

第2巻掲載の「ジャングルに牙を」では、アメリカ軍兵士とともにジャングルへ降り立った牙が、ゲリラと戦います。

ここで、ヒャッハーと牙達に向かってきたのが東側の戦車、正確には自走砲です。

自走砲とは、その名のとおり自走できる状態のものに大砲をくっつけたもの。

戦車との違いをざっくり言うと。
近い距離に撃ってとにかく丈夫なのが戦車。
とにかくたくさん撃ってまあまあ丈夫か丈夫じゃないのが自走砲。
・・・とはいえ、実はその区分は曖昧です。

圧倒的火力と重量で、次々と蹂躙されるアメリカ軍兵士達。
牙は、自走砲の砲口に弓矢を打ち込みます。

まずこれがハードル高い・・・のはおいといて、弓矢で腔発を誘導できるでしょうか。

 

考えられるのは、3パターン。
ひとつは、砲口へ打ち込まれた弓矢に砲弾が着弾し、内部で爆発するパターン。
これは、信管の性能と砲身の強度から、難しそうです。

まず、戦車類の砲弾の信管は、基本、発射後に作動することになっています。
砲弾が打ち出される砲口初速は、時速数百km~マッハ3以上。
砲弾は、砲身内で発射薬が爆発することで打ち出されます。
その爆発で、砲弾まで一緒に爆発したら困るので、砲弾の信管は発射後に作動することになっているのです。
ということで、砲身内に装填されたままの状態の砲弾は、弓矢を撃ち込んでも爆発しません。
おそらく弓矢は砲弾とともに打ち出されてしまうでしょう。

 

もうひとつめのパターン。
牙は弓矢を射る際に、矢尻に何か装着しています。
小型の爆発物か何かで砲身内で発射薬や砲弾の爆発を誘発させる、だと予想しますが、上記の通り、砲弾は砲身内で発射薬が爆発して発射されます。
つまり、砲身はある程度の爆発に何度も耐えるだけの強度をもっているので、何も起こりません。
もちろん、この爆発による砲弾の爆発も起こりません。

作中ではこのシーンに「カッ」という擬音が宛てられています。
砲身内で砲弾が爆発した音ではないかと予想されるので、上記2パターンを想定しているのではないかと思われます。

みっつめのパターン。
弓矢による砲身詰まりで腔発させるパターンです。
砲身は内部での爆発に耐えうる程度には十分丈夫ですが、異物が詰まることによる腔発はおそれるべきものとされています。

実際に日本の自衛隊でも、2010年8月に陸上自衛隊東富士演習場畑岡射場で富士総合火力演習の訓練中だった90式戦車が誤って砲口で土手を削った際に土を詰めたことによる腔発事故が起きていたりするのです。

うまい具合に弓矢が砲身内にひっかかったり、はさまったりして詰まってしまえば、腔発する可能性は微レ存。
しかし、泥のように粘度の高いものではないので、中で詰まるよりも、砲弾と一緒に押し出されてしまう可能性のほうが高そうです。

また、腔発では砲手にダメージあっても、作中で起きたような戦車全壊レベルの大爆発は起きそうもありません。
自走砲の装甲は戦車よりは薄めですが、作中の自走砲はほぼ戦車並みの丈夫さを持っています。
つまり、運転士および本体は無事なので、主砲以外で攻撃される危険は残る・・・というわけです。

まとめてみると。

 

さすがにこれは無理だ。

 

陸上最強兵器、戦車の主戦力である砲身は、そんなに甘くはできていなかった。

やはり昔から言われているように、戦車唯一の弱点と言われている、キャタピラを狙うのが無難かもしれないが、それはまた別のところで誰かに語ってもらいます。

森の中で戦車に出会ってしまったら、

 

逃げましょうネ。

 

・砲身が破裂して発砲不能になっても、戦車自体のダメージは軽微
・機関砲などで攻撃も可能なままで、むしろこっちがまずい
・弓矢で腔発は誘導できるかもしれないけれど、それだけで大ダメージにはならなさそう。
・うまく弓矢が砲身内に詰まってくれたら腔発で戦力ダウンまでならねらえるかも?
・あんまり相手にダメージないわりに弓矢の方角からこっちの居場所をsearchそしてdestroyされちゃいそうなんで、現実には弓矢作戦はあんまりおすすめしない感じです。

 

まあ、いろいろ考えてみましたが。

 

「いんだよ、細けぇことは!」

サバイバルポイント

戦車の砲身を破壊することは構造上まず不可能。大人しく逃げよう。